プロジェクトをご紹介します。
LTの屋外利用の幅を拡げるための、製品開発プロジェクト。近年マス・ティンバーの文脈から日本でも採用が増えているCross Laminated Timber(直交集成材)は、比強度も高く、日本の森林資源を活かす意味でも注目を集めている。一方で構造計算の特殊性や、在来木造に比べて高い施工精度が必要となるなど、日本の建設市場においてはまだまだ実験的な建物が多い。本製品は、そのような状況下において、一般の利用者によりCLTを認知してもらえるような用途の製品を開発することを目的に進められた。建物の構造体として用いた場合、ともすると防火の観点から覆われてしまったり、建物の利用者しか目にしなかったりとなることが多いため、屋外の公共空間で使うことを念頭に開発した。
CLTの大きな特徴として、国内では3m×12mの大判材を製造できることがある。用途に関わらず、その木造には珍しい材料のプロポーションを活かす長手に開いた形式を考えた。また純粋なCLT造は、設計の制約が大きい、難易度が高いといった課題があった。そこで鉄骨造のフレームに簡単な大工仕事で取り付けられる金物を開発し、CLT板を用いながらも特殊な知見なしに使えるような仕組みを目指した。
今回の事業は宮城県CLT等普及推進協議会の助成を受けて行っており、その中で、宮城県の工場では実は2m×4~6mのCLT板の製造効率が最も高いことが分かった。長手を開く形式はそのままに、鉄骨造とのハイブリッドである強みを活かし、最終的な製品としては1.2m×3.6mモジュールにてまとめている。
金物の強度試験も実施しており、今回は平屋用としているが、将来的には中層建物の構造材として使用することも視野に入れている。(EAU)
プロジェクト名: | "Clip & Trip", CLT Pergola Product |
所在地: | 東京都文京区 |
構造設計: | Graph Studio |
建築施工: | 物林株式会社 |
構造: | 木造 |
規模: | 平屋 |
竣工: | 2022年3月 |
その他: | 企画立案:物林株式会社建設事業部 企画設計:EAU/andfujiizaki一級建築士事務所 実験協力:BXカネシン株式会社 撮影:木内和美 |